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実践の勘どころ

いのち

 和歌山からきみはスイートコーンの声が聞こえるかい?

作物が持つ「いのち」の力をどう伝えるか。農家ならではの絶妙な語りかけが体験の場にはきっとある。

2年生のスイートコーン畑には「大きくなあれ!」と書かれた看板が 除房作業では、1番上の大きな房を残して他の房を取り除く
2年生のスイートコーン畑には「大きくなあれ!」と書かれた看板が 除房作業では、1番上の大きな房を残して他の房を取り除く

 

  5月、紀の川市立名手(なて)小学校の教室から見える畑は、スイートコーンの葉っぱで緑に覆われた。雄の穂が出てやがて雌の穂がでる頃、スイートコーンの幹は子どもたちの背丈をはるかに超える。この時期、時折強い風が吹くが、スイートコーンにとってはまさに試練の時…。

 そんなとき栽培を指導している農家の畑敏之さんは、「スイートコーンはね、風が吹くと幹が折れないように自分で倒れるんだよ。そして、ふたたび自力で立ち上がるんだよ」と、子どもたちに語りかける。「えーーっ本当?」と、はじめは半信半疑の子どもたち。
 どっこい!風で一度は倒れても、数日後、再び空に向かって立ち上がるその姿に、子どもたちは「いのち」を感じはじめたのか、「君たちと同じように作物にだってきっと『生きる力』があるんだね」という畑さんの話が、子どもたちの胸にすとーんと落ちる。

 6月中旬、花粉が舞い落ちるなかの除房作業で軸を折ってしまった子どもの顔に、スイートコーンの叫びと痛みが確実に伝わっている。それから約半月後、収穫したてのはじける甘さは、きっとスイートコーンの声が子どもたちの心にしみる味となったのだろう。