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お知らせ

教育ファーム推進全国大会

【開催報告】やらなきゃ損そん!教育ファーム
――食・農・暮らしをつなぐ農林漁業体験大集合――

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 2010年1月16日(土)、東京国際フォーラム ホールB5において 『教育ファーム推進全国大会」が開催された。展示された内容は、教育ファームを成功させる秘訣や工夫がたくさん。

 その一部として、ここでは【展示ブース(団体別)】のようすを報告する。


【展示ブース】 くれき野生産組合(長野県・松本市)

会場
地域の文化祭で展示された壁新聞
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 くれき野生産組合の指導のもと、種まきから脱穀まで、昔ながらの農作業を体験して、コシヒカリを育てた松本市立の芝沢小学校5年生の子どもたち。この取組みでは、担任の先生を通して、農家と小学校がしっかりとつながっているのが特徴だ。
 だから農家サイドから、いろんな意見を提案しやすい。今回、出品した壁新聞は、地域の文化祭で展示したもの。「せっかくの農業体験を、父兄だけでなく地域全体に伝えたい」という農家の希望が、そのまま形になった。

 子どもたちが書いた作業ごとの感想では、「大人になったら(農業を)受け継ぎたいです」という言葉も。また11月の収穫祭で販売したお米「わくわく米」のパッケージは、子どもたちのデザインで、このアイデアも農家からのもの。現場からのちょっとしたアイデアが、子どもたちの活躍の場を広げ、地域とのつながりを深めていく。壁新聞とパッケージは、地域・農家・学校の絆の証なのだ。

●関連HP(外部リンク):くれき野生産組合

 

 

【展示ブース】 三次農業協同組合(広島県・三次市)

会場
思いがしっかりと書かれた古代米新聞
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 三次市立酒河小学校では、ふだんから国語の授業「説明」の単元で「思いをしっかりと書く」ことに力を入れている。教育ファームと国語の授業が見事に実を結んでいるのが、「古代米新聞」だ。
 農作業の説明や感想が、実に詳細に表現されている。「思いを普段から表現することで、自主性が高まるんです」と、石井校長。
 当初の予定にはなかった案山子づくりでは、子どもたちが校長室までやってきて「どうしても作りたい」と直訴。田圃までのバス代がなかったため、40分かけて案山子を担いで歩いたという。
 「いらない服を三枚重ね、手袋の中に綿、足にはワラ、ビニールでリボン飾り」など、案山子の完成スケッチはかなり緻密(ちみつ)だ。また感謝の思いを伝えるために、作業ごとに指導農家へのお礼状も欠かさない。
 「体験+表現」が両輪となって、さらに体験を深め、表現を広げる。そこには、故郷を思う心が育まれている。

 

 

【展示ブース】 たけおの食育寺子屋実行委員会(佐賀県・武雄市)

会場
新聞の内容に農家も思わずうなる
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 内容もデザインもすべて子どもたちに任せて、徹底的に好きなように表現してもらった『たけおの寺子屋新聞』。出来上がった新聞には、指導農家までもが思わずうなってしまうような内容がてんこ盛り。
 ふだん、何気なく食べているトマト。しかし子どもたちの目を通して見ると、驚きがいっぱいだ。「茎に毛が生えている」、「茎に太いところと細いところがあった」「茎が開いて霜柱みたいなみたいなものが出ていた」「トマトは夜、生長する」…当たり前すぎて見過ごしていた、自然の不思議。
 教育ファームは、大人にとっても、忘れていたことを思い出させてくれる貴重な機会なのだ。

●関連HP(外部リンク):元気たけおっ子物語

 

 

【展示ブース】 NPO法人しずおか環境教育研究会(静岡県・藤枝市)

会場
「里ちびカード(写真中央部分)」は親子の共同作業(写真をクリックすると大きくなります)

 畑仕事の後、参加者がその場で完成させる「里ちびカード」。子どもが絵を描き、親が感想文を書く、親子の共同作業だ。文章と違って、絵は就学前の小さな子どもたちも表現しやすい。お絵かきを楽しみに畑作業に参加する子どももいるとか。
 そして大人たちの感想文もストレートだ。「ここでは子どもに『ダメダメ』と言わずにすむので有り難いです。久々に畑に来て、本来の姿に戻れた気分です」。丁寧に書き込まれたカードから、体験と自己表現によって気持ちを解放していく親子の様子が伝わってくる。
 まずは子どもたちが楽しんで絵を描き、その姿に触発されて大人たちも楽しんで書くという。「百色ほどのクーピーセットを広げておく」のが、子どもたちの絵心をくすぐる工夫。一年を通して書きためられたカードは、深まりゆく親子の絆の記録でもあるのだ。

●関連HP(外部リンク):森のちびっ子クラブ

 

 

【作品展示】 いしいゆみの親子で食育たのしみ隊 かかし君クラブ(愛知県・東郷町)

会場
児童館の子どもたちみんなで作ったタペストリー(写真をクリックすると大きくなります)

 一年間の取組みの写真を、麻布にバランスよくレイアウトして、児童館の子どもたちみんなで作ったタペストリー。いろんな場面が写真で網羅されており、特徴はお父さんの活躍ぶりが目立っていること。
 「料理体験は飯ごう炊さんで、薪割りから体験してもらいます。アウトドアを重視することで、お父さんたちの活躍の場が広がるんです」と石井ゆみさん。
 スタッフさながらの重要な役割が、お父さんのやり甲斐につながっているようだ。なかには、お祖父ちゃんやお祖母ちゃんも一緒に参加する家族も。楽しいから家族みんなでする。家族みんなでやるから楽しい。その姿はまさに「たのしみ隊」!

 

 

 

 

【作品展示】 木ノ庄西地区教育ファーム推進協議会(広島県・尾道市)

会場
子どもたちが“言葉集め”してつくった俳句(写真をクリックすると大きくなります)

 取組みのあとには、必ず絵や作文、俳句などによって体験を振り返り、表現するという尾道市立木ノ庄西小学校。会場には、1年生と2年生の俳句作品、3-4年生の絵画、5-6年生の作文などが展示された。
 2年生担任の重田紀子先生いわく、「1、2年生には、短い文で印象に残ったことだけを書く俳句の形がうってつけなんです」。創作のプロセスは三段階。時間が経つと子どもたちの印象が薄れてしまうため、まずは「体験のあとすぐの授業で、言葉集めをしておく」。そして、「家に帰ったら親に体験の話をしながら一句作る」。
 後日、俳句の先生をゲストティーチャーに招き、体験内容をより広く深く引き出してもらいながら、「先に作った句を推敲したり、新たに句を作る」。ツボを押さえた丁寧なプロセスが、子どもたちの豊かな表現力を引き出すのだろう。
 「たうえした ぐちょぐちょしてた いいきもち」などの素直で生き生きした俳句が光っていた。

●関連HP(外部リンク):尾道市立木ノ庄西小学校

 

 

【作品展示】 徳島女性農業経営者ネットワーク(徳島県・鳴門市)

会場
手作り紙芝居「さつまいもの作り方」
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 生産者から見た野菜の特徴や保存法、栽培方法、おいしい食べ方などをクイズ形式で伝える「食と農のクイズ集」。子どもたちがお母さんと相談して考えた「さつまいも料理のレシピ集」。ふるさとのよさと食べものの大切さを知ってもらおうと女性生産者が製作し、小学校や幼稚園に無料配布した「食と農のかるた」…。
 同ネットワークの多彩な作品の中でも、とくに目を引いたのが「さつまいもの作り方」という手作り紙芝居だ。同ネットワークの植田美恵子さんによれば、地元の小学校でさつまいもの栽培指導をする際、作業前にこの紙芝居を使って子どもたちに話をするそうだ。
 「内容は、さつまいもの種類、苗の植え方、地中でのいものつきかた、病虫害の話など。紙芝居にすると低学年でもわかりやすいし、口で説明するよりずっと集中して聞いてくれますよ。三択クイズなどを織り交ぜると、子どもたちのやる気もアップ。絵のうまい下手は関係ないのでおススメです!」。

 

 

【作品展示】 静原コスモストピアの会(京都府・京都市)

会場
「はがき新聞」で活動を振り返る
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 地域ぐるみの支援を受けながら、全校を挙げてもち米やさつまいもの栽培などの体験学習に取り組んでいる、京都市立静原小学校。体験をするたびに、感じたことや学んだことを「はがき新聞」という形で子どもたちに表現させている。
 会場では、その実践例集を椹木稔校長が配り、実物も見せながら取組みの意義を熱弁。「体験しっぱなしではなく、体験をまとめて人に伝える、表現することが大事。そうすることで子ども自身が成果を意識できるし、PTAや地域の人たちに子どもの成長ぶりを伝えることもでき、取組みへの理解が深まる」。
 作文などと違って気軽に作成できるうえ、限られたスペース・文字数で思いを伝えるので、表現力や国語力のアップにもつながる、まさにいいことづくめの教材とか。

●関連HP(外部リンク):京都市立静原小学校

 

 

 

【作品展示】 高槻とかいなか教育ファーム推進協議会(大阪府・高槻市)

会場
「子ども朝市」のようすをパネルに
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 自分たちが育てた米や、お世話になっている農家が育てた野菜などを販売する「子ども朝市」に2年続けて取り組んだ同会。その時の様子と、当日使ったツールなどを写真パネルと資料で紹介した。
 「大人はできるだけ口を出さず、子ども自身にどうやったら売れるかを考えさせました」と、代表の杉本真一さん。チラシやポップ作り、価格設定なども子どもまかせ。子どもたちは商品の価値を見極め、ランクに応じた価格を設定したという。荷札を活用し、『自分たちが作ったお米です』というメッセージを書き添えた“販促ツール”も開発。
 最終的な販売結果は売り上げ報告書にまとめさせるという徹底ぶりで、「作ったものを売ることの喜びと大変さ」を、子どもたちに学んでもらうことができたそうだ。

 

 

【作品展示】 愛宕子ども稲作体験会(福岡県・福岡市)

会場
「教育ファーム2年目の歩み」を2ステップで紹介(写真をクリックすると大きくなります)

 「教育ファーム2年目の歩み」と題し、写真と文章で取組みの詳細を展示紹介。併せて、同じ内容の冊子を希望者に配布した。
 取組みは、<米や野菜作りなどの農業体験>と<わたしたちと食べ物の未来を明るくする33の提案>の2ステップ。福岡市立愛宕小学校の稲益義宏先生いわく、「農業を体験することで、農業に対する子どもたちの偏ったイメージがプラスに変わる。じゃあ、その気持ちを次にどう生かすか…ということで、自分と食べ物とのつながりを考えさせました」。その結果、「ぬか漬けを家庭で作る方法」など、関心のあるテーマごとに33の班ができ、子どもたちは協力して調査・実践・提案を行ったという。
 ポイントは、「テーマがぼやけないよう、教師がより具体的なテーマに絞り込むこと」。ゴールは、PTAを招いての発表会。教育ファームは「思い出作り」ではなく、「未来を作る取組み」であることを改めて実感させられた。

●関連HP(外部リンク):空と、海と、風と(稲益義宏先生のブログ)

 

 

【作品展示】 はかた一番どり推進協議会(福岡県・久留米市)

会場
養鶏体験と久留米バーガー誕生までをパネルに(写真をクリックすると大きくなります)

 「命に感謝!筑水高校のファーム体験!」というタイトルで、写真と文からなる2枚のパネルを展示。1枚は養鶏体験の様子、もう1枚は販売体験の際に生まれた「久留米バーガー」の誕生物語。高校生による畜産業の体験は、教育ファーム実施団体の中でも珍しい。
 「参加者は筑水高校の生産流通科、調理科、福祉科の生徒有志で、命や食、農に関心がある生徒たち。とはいえ、難しい年頃のうえにどちらかといえば内向的なタイプが多く、作業を通して少しずつコミュニケーションを図った。上から目線ではなく、同じ目線でざっくばらんに話しかけるのがポイントかな」と同会の古賀宣彦さん。
 取組みを続ける中で、子どもたちはうれしい変化を見せたそうだ。「当初はあいさつもまともにできなかった子が、礼儀正しく、はきはきとモノを言うようになって。うちひとりの子は、酪農学園大学に進学しました」「田植えや野菜作りを通して、長年食べ物を育ててきた人の苦労を知り、『腰の曲がったお年寄りに対する見方が変わった』という福祉科の生徒も」。
 青少年への職業教育・社会人教育の一役をも担うことができる教育ファームって、すばらしい!

 


文責:事務局・金谷眞理子、近藤直子、写真:児玉記幸、金谷眞理子

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