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「スベ取り」「水番制度」豊かな体験を支える先達の技と知恵

2009 年 9 月 13 日

農事組合法人 万葉の郷ぬかづか(滋賀県・東近江市)

大人も子どももイネ刈りより「スベ取り」に夢中?

大人も子どももイネ刈りより「スベ取り」に夢中?

 集落営農がすすむ滋賀県のなかでも、加工部の米粉パンづくりをはじめ先進的な試みに次々にチャレンジしている農事組合法人万葉の郷ぬかづか。その活動のベースとなっているのは、大切に受け継いできた古老たちの知恵や技だ。
 今回のイネ刈りでも、この地域に伝わる独特のイネの束ね方で盛り上がった。束ねて結ぶためのワラを別に準備せず、刈ったイネの下の方に飛び出ている「スベ」(イネの固い幹の方ではなくて柔らかい葉の部分)を寄り合わせ、束に回してキュッと刺して止める。左手でイネ束をもって瞬時にスベをとる農家の熟練の技に、感嘆の声が上がった。

 次は昔ながらの足踏み脱穀機を使っての脱穀体験。足で回転板を踏みつつ、稲束を微妙に動かしながら穂を歯にあてる。地元では「ギーコン」と呼ばれてきた脱穀機が、呼び名の通りギーコンギーコンと回転する。

足と手を同時に使うのって難しい!

足と手を同時に使うのって難しい!

 豊かな農業体験を陰ながら応援しているのが、地区の老人会のみなさん。今でこそ現役を退いてはいるが、「昔とったきねづか=水調整のワザ」を頼られ、2日に1度水路のバルブを開閉して田んぼの水管理を担当してきた。
 愛知川の支流から遠く離れている糠塚町。その昔は独自に「水番制度」を設け、貴重な水を集落全員で平等に分かち合えるよう、水口を開閉して田んぼに水を流す役を輪番制で担ってきた。田んぼの位置や天候などによって、水口の開閉時間は異なってくる。ベテランの水番役は、開閉時間を的確に判断し水量の絶妙な調節をしたという。
 現在水口の開口部は、板をスライドさせる従来の方式からバルブ式になったが、熟練の水番役は今でも健在だ。この田んぼはバルブを3回転半開けて30分、5回転開けて1時間……長年の経験によって培われた技が、集落中の田んぼの切り盛りに活かされている。

町内の田んぼに40ほどある水のバルブ

町内の田んぼに40ほどある水のバルブ

 今年の梅雨は空梅雨。難しかった水管理もベテランたちによって支えられ、この日のイネ刈り体験を迎えることができた。水番制度から集落営農へ。地域農業の営みはずいぶんと変わってきたが、農業を根底から支えてきた先人たちの取組み、そしてみんなで支え合い助け合う気風は変わらない。継承されてきた想いと技が、教育ファームを通じて、豊かな水流となって地域の人々に注がれている。

(万葉の郷ぬかづかの6/23の活動レポートもあります)

文責:関西ブロック事務局 近藤直子