ゴールはスタート!後輩に引き継ぐ「冬水田んぼ」
2009 年 12 月 1 日気仙沼市立大谷中学校(宮城県・気仙沼市)
環境に負荷を与えない冬水田んぼ(冬期湛水農法)。カモ類が羽を休め、彼らのふんが肥料にもなる共生の田んぼ(12a)で、今年は400kgのササニシキを収穫した。
今日は、中心になって農作業を行ってきた3年生が、育てたお米で全校生徒のおにぎりをつくる。炊飯器で炊きあげたホカホカごはんを手にとって、きれいな三角形を目指してみんなで苦戦しながら、塩をまぶし、海苔をまき、130人+先生たちのおにぎりに心を込めた。
「熱っ!」「お母さんは、上手なんだけどなー」
3年生が炊きたてごはんと格闘しているなか、2年生は総合学習のコーディネーター小野寺雅之さんから、来年に取り組む冬水田んぼのオリエンテーションを受けた。田んぼに水を張ったのは、収穫作業をすべて終えた後の11月20日。冬水田んぼのスタートは春ではなく、晩秋なのだ。精米のときに生じた米ヌカを肥料として散布したのだが、
「ちょっと撒きすぎてしまったみたいで分解が遅いようなんです。『次の3年生』たちで、これから撹拌作業をやってもらいます」
おにぎりを食べる前の絶妙な「ハラ減らし」作業。ざぶざぶと長靴で水面を蹴立て田んぼの底をかきまぜながら歩くと、余分に積もっていた米ヌカが撹拌され、酸素たっぷりの水と混じり合う。十数分間、3枚の田んぼをタテ、ヨコ、ナナメ、ぐるぐるとまんべんなく歩いて作業は終了。
「今年も田植えはやったけど、来年は自分たちが中心になるんで楽しみです」と語る2年生たちの教室にも、3年生がにぎってくれたおにぎりが届けられ「いただきまーす!」が響き渡る。ごはんはちょっと固めでちょうどいい。塩加減もナイス!
「自然にやさしいお米は、きっと体にもいいと思います」と3年生女子。
「自分たちで学んで、考えて育てた米なので、同じ米でも思い入れが強いです」と同じく男子も、自分たちで育てたお米に対する思いを語ってくれた。
冬水田んぼに感謝し、ふたたび冬水田んぼが始まった、2009年、冬の入り口のこと。
(気仙沼市立大谷中学校の6/9の活動レポートもあります)
文責:東北ブロック事務局 渡辺征治