先生も親もみ~んな生徒 学校を中心に受け継がれていく技
2009 年 12 月 2 日木ノ庄西地区教育ファーム推進協議会(広島県・尾道市)
「しめ縄は神様のための縄だから、普通の縄とは逆の向きにないます。少し手を水でぬらしたほうがやりやすいよ」
まるで魔法のように、ワラが縄へとみるみる変化していく。一心に見つめる子どもたちの間から、「おぉ~」「すげー」とささやき声が漏れた。
木ノ庄西小学校内のホールに集合した3年生から6年生、約30人。今日は、学校田で育ててきたイネのワラを使って、お正月用のしめ縄づくりをする。教えてくれるのは、春から米づくりを指導してきた地元農家の菅安義治さんだ。
菅安さんの説明とデモンストレーションが終わり、今度は子どもたちがチャレンジ。でも、なかなかうまく縄にならない。
「できないー」
「むずかしいー」
あちこちで苦戦の声があがり、子どもたちはどんどんワラまみれに……
そんな子どもたちの間をまわりながら、「こうやるのよ」と見事な手さばきでフォローするのは、各学年の担任の先生たちだ。「やったことなかったんだけど、この学校へ赴任して毎年、菅安さんに教えてもらってるうちに、上手になっちゃって」とニッコリ。
ホールの隅には、「仕事が休みだったので」と参加したPTAのお父さんの姿もあった。「ここにずっと住んでいるのに、しめ縄づくりは初めてです」と照れ笑いしながら挑戦。でも子どもたちと似たりよったり、まったく縄にならず何度もやり直したワラをヨレヨレにしながら、「いいんです、こうやって大人も学ぶんです!」と楽しそうだ。
ここでは、学校から積極的に地域の人たちに働きかけて、野菜づくりから米づくり、しめ縄づくりなど暮らしの文化まで、子どもたちに技を伝授してもらう活動を展開している。
地区の小学校を中心に、お年寄りから子どもたちへ、そして先生たちや保護者まで、地域の宝は途絶えることなく受け継がれていく。
文責:中四国ブロック事務局 鈴木江美留