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いのちの音が聴こえるかい?

2008 年 7 月 6 日

かごしま食農育協議会(鹿児島県・鹿児島市)

7月6日。今日は、鹿児島市川上地区で、田植えの終わった田んぼに、合鴨の雛を放す日。午前10時、気温はグングンと上がり、31度に達するほどだが、日よけ用に設置されたテントには、市内から家族づれ親子約50人が集まった。

ピヨピヨピヨ……かわいい声が響く箱を、生産者の橋口さんがニコニコしながらテントのなかに運び込む。ふたを開けると、そこには、生後2週間足らずの合鴨の雛たちが30羽ほど互いに身を寄せ合っている。

子どもの胸でじっとおとなしくしている雛。大人ではこんなてなずけ方はできない

子どもの胸でじっとおとなしくしている雛。大人ではこんなてなずけ方はできない

「うわー」大人も子どももそのかわいさに我先にと雛たちに手を伸ばす。抱かれた雛の方は大パニック!ピーピーと毛を逆立ててもがいているのを、落とさないように、小さな手でしっかりと、やさしく抱く子どもたち。「ぬっかねー(あたたかいね)」「ふわふわだー」「気持ちいいー」。思わず頬ずりをする。数分後、不思議なことに、子どもたちに抱かれた雛は声をあげることもなくおとなしく抱かれるようになる。

そのころ合いを見計らったように、橋口さんが取り出されたのは、おもちゃの聴診器。
「ぬいぐるみみたいだけど、この子らは生きているんだよ。ほら、心臓の音が聴こえるでしょ」子どもたちのお世話係をしてくれる鹿児島大学の学生から聴診器を着けてもらって、合鴨の鼓動に耳をすます。たちまちに顔が輝く。

初めて聴く雛の心音に大人も感動する

初めて聴く雛の心音に大人も感動する

「あーっトトトトトっていってる!これが心臓の音?」
子どもも大人も、初めて聴く合鴨の雛の心音に興奮する。

「ボクの心臓の音も聞いてみたい」「ああ、ボクの心臓の音よりも高くて、早い!」
自分と雛の心臓に交互に聴診器を当てて聴き比べる。抱いた温かさとともに、聴診器で鼓動を聴かせることで、合鴨は生きていること、命があることの深く実感してもらうことが狙いだ。
田んぼに放たれるまで、子どもたちはずっと雛を抱き続ける。
「がんばってー」「また会いに来るねー」「元気でねー」。口々に声をかけながら、名残惜しそうに手放された雛たちは、これが初めてとは思えない素早さで、水田のなかを駆け巡った。(文責:事務局)

放鳥の儀式。抱いていた雛を名残惜しそうに田んぼに放す

放鳥の儀式。抱いていた雛を名残惜しそうに田んぼに放す