いつでん だれでん 「ばあちゃんち」
2008 年 11 月 2 日植木町教育ファーム地域協議会(熊本県・植木町)
サンさんネットのシンボル的存在が、山東地区にある「ばあちゃんち」。築100年、周囲を畑に囲まれた約300坪の敷地には母屋と納屋と広い庭、そこに、80歳の太田隈(ただくま)フジエさんが一人で暮らしている。この、フジエばあちゃんとばあちゃんの住まいまるごとが、植木町地域子育て支援センターが運営する子育て&農業体験サロン。一人暮らしの高齢者の家が、そのまま子育て世代の居場所づくりを兼ねた世代間交流の場として開放されるユニークな試みだ。
いつでん だれでん なんでん かんでん(いつでも だれでも なんでも かんでも)ふところ深く受けいれてくれる「ばあちゃんち」。
ここ山東地区では混住化が進んでいて、近所の団地やアパートから、小さな子どもをつれた若いママや妊娠中のプレママたちが、入れかわり立ちかわり「ばあちゃんち」にやってくる。納屋にある現役のかまどで料理をしたり、収穫した大豆で味噌づくりに挑戦したり、搾れば油に変わる菜種にびっくりしたり、ばあちゃんや世話焼きおばさんたちから切干だいこんの作り方を習ったり…いのちを支え、生活の知恵を伝える「地域の台所」さながらだ。
子育てに不安を抱えるお母さんが、自分のばあちゃんみたいなフジエさんに愚痴をこぼして『なんでもないよ、そんなこと』と言われて安心する。地域のみんなで、子どもたちに食の技や知恵を伝えていくための、ホッとできる場所。それが、「ばあちゃんち」だ。
「子育ても農業も、芽が出るまでは待つしかない。実りの時期にしか実らない」と、植木町役場の田代さんはほっこりした顔で笑った。
(文責:事務局)