合鴨が教えてくれた「命」と「食」
2009 年 10 月 4 日バジルクラブ(長野県安曇野市)
5月にみんなでヒナを放鳥、その後虫を食べたり草を食べたり田んぼで大活躍してくれた合鴨たちをどうするか、8月のサマーキャンプで大人たちが話し合い、そしていよいよこの日を迎えた。
屠殺と解体とで場所を分け希望者だけが参加する。20数名の参加者のうち、屠殺の場まで来たのは、小学生が1人と中学生が3人、それにお母さんとお父さんが1人ずつ。
衝撃なのは、頸動脈にナイフを入れる瞬間よりむしろそのあとだ。三角コーンパイロンのなかに頭から入れられた合鴨が、少しの間バタバタと暴れつづけ、やがてその動きが静かに消えていく。それは「命」の炎が消えていったということ。はじめて見る光景に参加者たちからも声が消える。キャップのひさしを目深に下げる中学生たち。小学生の女の子の目からは涙がこぼれた。
そんななか自ら志願した中学生が、指導農家の津村孝夫さんに合鴨のつかみ方やナイフの入れ方を教えてもらう。次に若いお父さんもチャレンジ。お母さんは「わたしはムリ」と首を振る。なかには逃げ出す中学生も。結局全部で9羽の屠殺を終えて解体の場に移動すると、屠殺は無理だけど解体は体験したいというほかの親子が集まっていた。
羽根をむしられツルツルになった合鴨を、津村さんが見事な手際で解体していく。
「これは心臓、これはすい臓。肝臓はまだ新鮮な今だったらレバ刺で食べられるよ」という説明に、へえ~、うわ~という感嘆の声が上がる。
お尻から大きく開いた穴に「手、入れてみる?」と津村さんが、肛門を切り開いて内臓を取り出す「壺抜き」を教えると、男の子が恐る恐る手を近づけて、
「うわ、あったかい!」
交代して次に手を入れた女の子は、
「ていうか、熱い!」
まさについさっきまで生きていた命なんだ…
「食とは、ほかの生き物の命をいただくということ」
言葉で百遍繰り返しても、この日のような活動を実体験することには及ばないのではないだろうか。
「毎日こうやって食べてるんだなって、貴重な経験をさせてもらいました」
屠殺場まで来ていたお母さんが最後に語ってくれた感想にすべて尽きるような、そんな一日だった。
(同じ活動をレポートしたバジルクラブのブログはこちら)
文責:関東ブロック事務局 中川哲雄




